お知らせ

2022.11.15

速記140年記念フォーラム「1954年日本教職員組合速記史料の解読──速記科学と教育史学の連携による新たな歴史──」のご案内

速記140年記念フォーラム「1954年日本教職員組合速記史料の解読──速記科学と教育史学の連携による新たな歴史──」のご案内

12月11日(日)、
日本速記協会と教職員組合運動史研究会の共催、速記科学研究会の協力により

速記140年記念フォーラム 1954年日本教職員組合速記史料の解読
――速記科学と教育史学の連携による新たな歴史――

を開催することになりました!

当日は会場参加のほか、オンライン参加も可能ですので、ぜひお気軽にご参加ください。
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お申込みはこちら
のフォームからお願いいたします。

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   プログラム
   会場受付開始  12:45
   開会      13:15
  開会挨拶 保坂正春(日本速記協会理事長)
    司会   布村育子(埼玉学園大学教授)
   第Ⅰ部:基調講演 13:30~14:30 @国際会議場
    ○基調講演1
    「1950年代の日教組と発見された速記史料の意義」  広田照幸(日本大学教授)
    ○基調講演2
      「戦後速記方式史と第三者解読への道 ――技術革新の波に洗われて――」  兼子次生(速記文化研究家)
     〔休憩〕     14:30~15:00
  休憩時間には、速記者グループによる解読精度の検証結果を発表します。

   第Ⅱ部:分科会  15:00~16:45
    ○分科会1 「速記史料の解読をめぐって」 @会議室2
    1「多方式の独習経験と第三者解読から得たこと」  平野明人(速記研究家)
    2「速記方式と速記者の探索、符号解読の事例」  菅原 登(速記研究家)
    3「符号解読で感じたこと、調査法などについて」   菅原真悟(中根式速記者)
    ○分科会2 「1954年速記史料と日本教職員組合」  @国際会議場
    1「1954年速記史料から見た旭丘中学事件と日本教職員組合」  高木加奈絵(倉敷芸術科学大学講師)
    2「第11回定期大会における旭丘中学事件と政治的中立」  広田照幸(日本大学教授)
   閉 会      16:45

   趣 旨

本フォーラムは、速記科学と教育史学の連携によって生まれた新たな歴史の可能性を、速記史料の解読作業の意義と、解読された文書の意義との両面から、学術的に考察する。一見、接点のないように見える速記科学と教育史学とを結びつけたのが、60年以上もの間、日本教職員組合(以下、日教組)の倉庫に眠っていた1954年の速記原本である。

通常、速記は、他人が書いた速記符号を何十年も後に同門でもない第三者が読み取るのは困難で、それをえ反訳するということは、日本ではこれまでに例がなかった。

今回の作業では、4人の速記者が、およそ3年の月日をかけて1433枚の速記史料の反訳作業に取り組んだ。このような作業は、同じ方式であれば手紙の交換ができる欧米の速記の場合でも、ランケの世界史や、スミスによる「ピープスの日記」程度の例しかなく、今回の第三者解読の成功事例は世界の速記の歴史に残るものといえる。

今回解読された文書は、1954111月の日教組における中央執行委員会の議事録である。この年は、「教育の政治的中立」をめぐって政府・与党と日教組が鋭く対立した年で、ここで解読された文書は、当時の日教組の動きを知るための超一級の情報を提供してくれるものである。

今回の解読は、速記科学と教育史学のそれぞれの未来に、大きな可能性を見出してくれる。まず、速記科学の歴史にとっては、何十年も前の第三者の手による日本の速記は反訳可能であること、反訳した史料は、歴史的な史料として学問領域に活かすことができること、これが歴史上初めて証明された。どこかにまだ、反訳されないまま残された速記原本が眠っているかもしれない。その原本は、今後速記者たちの協力で歴史研究のための第一級の一次資料となりうる可能性があるということである。

また、教育史学にとっては、戦後教育史の重要な局面における日教組の考え方や姿勢が克明に検討できることになった。特に、「教育の政治的中立」の問題をめぐって、当時の日教組執行部が、どのように情勢を分析し、何を議論し、どのように運動方針を決めていったのかを、反訳された成果を使ってたどれるようになった。解読結果は、新たな戦後教育史像を描くためにきわめて重要な素材になることが期待できる。

本フォーラムは、第Ⅰ部において、まず、教育史学・速記科学の両面からの基調講演を行う。次いで第Ⅱ部の分科会では、2つの柱を立てて、それぞれ報告と議論を行う。第一分科会では、速記の関心によせて、1954年の速記原本を一体どういう工夫や作業で反訳できたのか、これを作業に当った速記者グループが具体的に報告をし、議論を行う。第二分科会では、教育史研究の関心によせて、1954年のその史料には何が書いてあり、それが先行研究に対してどういうインパクトを与える史料でありうるのかを、教育史研究のグループが報告し、議論を行う。

本フォーラムでは、もう一つ、新たな研究成果を発表する。今回の史料とは別の史料群の中には、速記符号で書かれた史料と速記符号の反訳文を基にした記事との両方が存在するものがある。その史料を対象にして、速記者グループは現在、反訳文を基にした記事を参照しないで速記符号を解読する作業を進めている。両者を付き合わせることで、速記者グループによる解読の精度が明らかになるはずなので、本フォーラムの中で、その検証結果を公表する予定である。

フォーラムの参加者は、速記科学と教育史学の出会いが生み出した新しい歴史とその可能性を体験する時間を過ごすことなるだろう。速記科学の関係者、教育史学の関係者にとどまらず、広くさまざまな分野の研究者、学生、一般の方々の参加を歓迎したい。

なお、本フォーラムは、日本における速記140周年の記念事業である。